【焼成記録用紙記入見本(還元焼成時)】
【焼成記録用紙について】
電気炉での焼成の場合プログラムコントローラーによって制御するため、焼成記録をとる方は少ないかもしれません。
弊社電気炉もお渡し時に通常、パータン1で素焼、パターン2で本焼というプログラムをセットしております。
簡単に、素焼と本焼の選択ができるようになっているのが記録をとらなくても良いと思わせてしまう原因でもありますが、陶芸をするにあたって可能な限り焼成記録を作り保存するべきです。方眼紙などで自作する場合が多いですが、その手間も記録を作らない原因のひとつかと思い今回焼成記録用紙を作成し公開させて頂きます。
いつどのような焼き方をして作品を作り上げたかを記録することで、次回同じように焼くための大切な資料になります。
陶芸は基本的に失敗の連続です。それを記録し同じ失敗を犯さないことが上達への近道です。そこを怠ればいつまでたっても同じところから脱却できないでしょう。
陶芸にとって焼成は粘土がやきものへ変わる一番大切な工程です。ここで気づいたことを可能な限り記録し、次の作品へ生かす。
焼成を意識している人とそうでない人の差は非常に大きいものです。ここで一度騙されたと思って焼成記録をとり始めてください。
必ず焼成記録に助けられる時が来ます。自分だけの焼成記録を作り、更なるステップアップを目指しましょう。
電気炉の還元焼成を行う際などは記録は必須です。最低でもガス圧、ガスの臭い、炎の出方、炎の色を記録するべきでしょう。
焼成記録用紙目盛について
※この焼成記録用紙は弊社電気炉に特化したものとなります。
温度(左縦軸) | (左縦軸)1目盛10℃ |
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時間(横軸) | 1目盛10分→6目盛=1時間 |
ガス圧(右縦軸) | 酸化焼成では不要です。 (他社炉やガス炉等で使用されたい場合はガス圧フリー版を使用ください) |
焼成記録用紙ダウンロード(画像下のリンクよりダウンロードください)
焼成記録用紙を用いたカロリーの推察
焼成記録用紙を用いて焼成グラフを書く事でおおよそのカロリーを推察することができます。
但しこれは理論値ですので実際の焼成ではズレます。が、検討を付けるのには有効です。
長時間かけて焼くという話を時々聞くと思います。その長時間を短縮できないのかと考える場合に有効な策になります。
以下の図をご覧ください。
【長時間焼成】1250℃まで24時間かけて焼く場合。赤い方の三角の図形になります。
これと同じだけのカロリーを掛けたければこの赤の面積と同じになるような焼成グラフを書けばよいわけです。
ですので面積を同じにするよう考えて
【短縮焼成】1250℃まで12時間で上げその後1250℃を6時間保持(ねらし)をする青の図形ができあがります。
どちらも面積は同じで、作品にかかるカロリー量は近いものになります。
さまざま人や資料などから聞く焼成のことを自分なりに組み替える場合このように面積から焼成グラフを推察することが可能になるわけです。
実際のカロリー計算というのは比熱や圧力など様々考えることが増えますが、やきものの焼け具合に限るのであれば焼成グラフの面積から見当を付けるというのは有効な手段となります。
注意しなければならないのはやきものは一定の温度を越えると急に溶けるのが早くなるものや、急激に温度上昇をすると壊れるものなど様々あることです。面積が同じだからと言って同じように焼ける保証はありません。面積による焼成グラフの書き換えはあくまでも見当を付けるためのものであり、多くの調整が必要ですが頭の片隅に入れておいても損はないでしょう。